ボトックス治療の新薬
脳血管障害や頭部外傷、脳性麻痺、脊髄損傷などが原因となって発症する上肢痙縮では、手関節、手指関節、肘関節および母指関節の屈曲、前腕の回内などの典型的で異常な姿勢パターンを伴う運動機能障害が認められる。更衣の困難さ、衛生状態の悪化、随意運動の妨げを引き起こすとともに、筋肉のスパズムによる疼痛や不眠の原因となって、日常生活活動の妨げとなる。
上肢痙縮を含む痙縮の治療では、理学療法などのリハビリテーションに加えて、エペリゾン(ミオナール他)などの中枢性筋弛緩薬や、ダントロレン(ダントリウム)、A型ボツリヌス毒素(ボトックス他)などの末梢性筋弛緩薬が臨床使用されている。
このうち、A型ボツリヌス毒素は末梢のコリン作動性神経終末に作用し、神経伝達物質アセチルコリンの放出を阻害することで随意筋の筋力を弱め、筋緊張状態を緩和する。標的とする筋肉内に簡便な手法で局所投与され、感覚神経障害を引き起こさずに運動神経終末のみに作用する神経ブロック療法の1つとして国内外のガイドラインで推奨されている。治療効果も高いことが認められている。しかし、既存の製剤は神経毒素成分(A型ボツリヌス毒素)以外に無毒性成分の複合蛋白質も含まれるため、投与を継続することで中和抗体が産生され、効果が減弱することが問題となっていた。
ゼオマインは、A型ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)から産生されるA型ボツリヌス毒素から複合蛋白質を取り除き、神経毒素成分のみを有効成分とした薬剤。中和抗体産生による効果減弱の可能性が低くなると期待されている。
脳卒中後の成人上肢痙縮患者を対象とした国内第3相試験(対照:プラセボ)において本薬の有効性および安全性が検証された。海外では、2005年5月にドイツで承認されて以来、2020年1月現在、欧米を中心に世界70ヵ国以上で承認されている。
副作用として、筋力低下(3%以上)、注射部位内出血、構語障害(各1~3%未満)などが認められており、重大な副作用としてアナフィラキシーを含む重篤かつ即時型の過敏症、血清病などを生じる可能性もある。
というわけで関係の無い方にはナンノコッチャという話ですが、上肢と下肢に障害がある息子が現在とある病院で受けているボトックス治療について新薬が承認となったというお話です。
今後はこの薬が使って治療が行われていくようです。
新薬の効果
簡単にいうと今までよりも緊張を緩和する効果が長く維持できる反面、デメリットは今の所かなり少ない(ほとんどない?)様です。
ワクチンと一緒で完全にノーリスクとは言えないのでしょうが、、、
数ヶ月前にボトックス治療を初めて処置していただいた後はかなり関節が柔らかくなったのですが、残念ながらその効果は期間限定なものにとどまりました。
次回以降にこの新薬を使った効果がどの程度長く維持できるのか親としては期待がかなり高まっています。